最近(旧)Twitterでチェーンを外して洗浄している事例をよく見かけます。
疑問
以前から、外して洗浄した方が良いに決まってるけどそれだけの価値があるかなぁ?と疑問に思ってました。
レースなど人と競う場合は、機材をベストな状態にするためにコストや労力を度外視してやるのは理解出来ます。
でも、単に趣味で走ることを楽しんでるだけの人ならそこまでするより、注油や簡単な掃除の回数を増やした方がトータルでは有効なのではないか?と考えていたので検証してみました。
コスト
チェーンを外す場合殆どの車両は、チェーン外す為にピンを抜くかクイックリンク(ミッシングリンク)を外すしかありません。
クイックリンク (シマノ)(Amazonリンク)は一回外すと使えません。
その割にリンク先くらいの価格がします。(現在2個で¥1.349)
11速の例ですが、洗浄するためのチェーンの付け外しだけで1回650円以上掛かります。
ミッシングリンク(KMC)(Amazonリンク)は3~5回(回数は自己判断?)出来るモデルもあるようです。
複数回使えるのでランニングコストは低くなりますが、こちらも良い値段がします。(現在2個で¥1,560)
3回利用するとして1回250円以上。
チェーンピン (Amazonリンク)に至っては同じ所は抜けませんので、ツギハギだらけになります。
接続精度やチェーンピンと元々のピンの性能差(多分あると考えます)を考えると極力増やしたくないので現実的ではないと考えます。
コストは一回230円程
チェーンピンの抜き差しは現実的ではないとして、ミッシングリンクだと思ったほどコストは掛からないようです。
予想
以前全く根拠がないながら、こんな感じではないかと予想して作成したグラフがこちら
1kmあたりに増える汚れ(ホコリとか摩耗した鉄など)を1としてパターン分けして500km分のグラフ。
汚れ落ちの度合いも私の感覚で全くの適当ですが、今回実験してみてそれほど間違ったものでもないのではないかと感じました。
走行距離に比例して汚れが増えるとも限らないし、汚れが除去できる状況も変わるかも知れませんが、頻度がいか有効かを知る為の目安にはなると考えてます。
累計というのは、どの程度汚れで1km走ったかの500km分の累計です。
測定
では測定していきます。
といっても、ペダルを空回しするような力を測定できるものがありません。
以前の輪ゴムを使っても良いのですが、今回はペットボトルを使用します。
中に水を入れて1秒以内に落ちる重量を探っていきます。
測定車両は息子の通学自転車。
方向は見ての通り逆転方向、チェーンだけでなくフリーやBBの抵抗も
場所によって多少違いがあるので、何度も確認します。
・注油前
私の注油(及び洗浄?)はチェーンの注油(我流)(記事リンク)の通りチェーン油掛けて拭くの繰り返し後ルブ変わりのCKM-001を注油で前回も同様に作業して、今回は約100km走るまで待ちました。
・注油1回目
ルブ変わりの油差して拭き取っただけの状態
少し軽くなりました
・更に注油と拭き取りを2回追加
普段50km程度で注油しているので、100kmも走ると結構汚れています。
注油と拭き取りを繰り返すと少しづつ綺麗になるのはCKM-001も変わらないので2回行いましたが、思ったよりきれいになりませんでした。
そして、思ったより軽くならない。
・ミシン油を差して拭き取りを3回追加後注油
先のCKM-001での作業と合わせて、ミシン油注油と拭き取りで綺麗になってきたので、ペットボトルの重量も軽くて済むようになりました。
・パーツクリーナーで徹底的に汚れを落として注油
840ml缶のパーツクリーナー3/4くらい使用して綺麗にしました。
最近のパーツクリーナーは溶剤減らしてガス多め。
噴射力を生かしてローラー内まで洗浄させました。
最後、確認のために数コマペーパータオルで受けながらチェーンに噴射しましたが、乾燥後パーツクリーナーで受けたところとそうでない所の差が分からない程度まで綺麗になりました。
今回チェーンを外していませんが、それなりに綺麗になったと考えてます。
回した途端明らかに分かるくらい軽くなりました。
更に注油を2回(油を完全に除去してるので)して測定したのが上記73gです。
23/10/2追記:息子が15km程走行したので確認しましたが、ミシン油の注油繰り返し程度の抵抗に戻っていました。すぐには行えませんが追跡調査していきます。いずれにせよ今回やった徹底的な洗浄というのは直後の実験結果ほど効果がないものと考えられます。
グラフ化
実際に計った数値は吹き出しのある作業前と作業後だけなのですが、③の作業は100km前と同じレベルまで綺麗にしているので、100km当たりどの程度の抵抗が増えるのかがある程度予測つきます。
こちらも比例するとは限らないので目安になりますが、今後忘れずにチェックしていけば確度が上がっていくと考えてます。
新品チェーンの油を落とし、注油してからの汚れ方は50kmに1回注油していても200kmも走らない内にミシン油で汚れを落とそうというレベルに汚れます。
このあたりもグラフに近い実感なので大きくは間違っていないと思います。
(注油せず放置するのは我慢出来ないので、100km程度までの範囲ですが)
グラフを見る限り、500kmおきに徹底的に洗浄するのも定期的にある程度まで綺麗にしておくのもあまり変わらないようです。
もっとも、500kmも注油しないと汚れ以前に油切れを起こす可能性がありますが・・・
洗浄液(チェーンクリーナー)について
シマノの上位グレードを製造している和泉チエンさんによると
・酸及びアルカリ性の物を使用すると金属が劣化するので使用しないこと
(シマノのマニュアルにもあります)
・水溶性の洗浄液を使うとしっかり拭き取った場合でも内部に水分が残りサビる
との事です。
水溶性のものの中にも錆止めが入ったものがあるので、全部が全部ではないかも知れません。
そもそも薬剤が完全に除去出来ず残った場合、雨の日などに水分が入ると油を除去するかも知れないと考えてしまうので、私の場合は溶剤系で揮発して無くなってくれるパーツクリーナーを使用しました。
完全に油分を取り除くタイプの洗浄液の場合は、洗浄後すぐに注油しないと錆びてしまうので注意が必要です。
また、私の経験上しっかりと注油しておかないと油が回りきっていない個所が錆びます。
(今回、念のため実験後に3回目の注油を行いました)
まとめ
※現在の認識と相違あります。後日記事にしたチェーン洗浄後の追跡調査をご覧ください。
・徹底的に洗浄するのは思った以上に効果がある。
(あくまで空転時、実走行ではどこまで実感できるか分かりません)
・KMCの再利用可能タイプであれば1回250円程で取り外し可能。
(シマノ基準で考えてたので、頻繁に行うのは現実的ではないと思ってました)
・「徹底的な洗浄」を少ない頻度するのも、「注油と拭き取り」×数回を頻繁にするのもトータルでみるとあまり変わらない
(当たり前だが、両方すれば良い。頻繁に徹底的に洗浄すればなお良い)
・シマノチェーン(クイックリンク)の場合は外さずに噴射力の強いパーツクリーナーで洗い流し(汚れを追い出す事が重要)もありかも知れない。
23/10/2追記:息子が15km程走行したので確認しましたが、ミシン油の注油繰り返し程度の抵抗に戻っていました。すぐには行えませんが追跡調査していきます。いずれにせよ今回やった徹底的な洗浄というのは直後の実験結果ほど効果がないものと考えられます。
今後は追加の測定をしていこうと考えています。
(パーツクリーナーで洗い流したものと、外して洗ったものとの比較もしようかな)
追記:追跡調査の記事を書きました。
この記事が役に立ったと思ったら文中のリンクか
https://amzn.to/49nn6Zb(Amazonリンク)
から何か購入して頂けるとちょっとだけ私に広告料が入ります。
自転車部品だと税抜き1000円の商品で40円。(ギフト券の紹介料は23.6.1に廃止されました)
現在自転車の実験に使う費用の僅かな足しにしています。
このサイト用に実験するための自転車部品代の足しにしています。
良ければご協力お願いします。
整備関連リンク
フラットバー用ブレーキレバーの選び方
ブレーキレバーの調整
キャリパーブレーキの分解整備
スプロケットの選び方 前編
スプロケットの選び方 後編
サーボブレーキの調整と構造
ダイナモランプ修理
自転車片足スタンド補修
ママチャリのBB外し 最終手段 (なんちゃってクロスや子供用含む)
チェーンの注油(我流)
チェーン洗浄の効果
チェーン洗浄後の追跡調査 - kapaの自転車ブログ
錆び落とし剤
シングルギア(又は内装変速)のチェーンライン測定方法
グリップの外し方
携帯ポンプ GP-61S GIYO について(分解整備も)
例のポンプ(モドキ)を買ってみた。(GORIX GX-MP66)
リアディレイラーの調整
スプロケットの変速ポイント(切り換わり個所)について